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動機付け面接|相手自身のやる気を起こす方法

動機付け面接とは、クライアントの自己決定能力を高めるために行われるカウンセリングの一種です。
動機付け面接では、クライアントの内面にある変化に向けた動機を引き出し、支援することを目的とします。
動機付け面接は、依存症や生活習慣病などの行動変容に困難を抱える人に対して有効な手法とされています。

私はこの動機付け面接を用いることがマネジメントにも有効であると考えています。
実際、部下が自身でやる気を出せるようにこの方法を何度か用いたことがあります。
皆さんも動機付け面接について学び、実践してみてはいかがでしょうか?

それでは、動機付け面接とは何か、メリットや方法などをわかりやすくご紹介いたします!

動機付け面接の目的と効果

動機付け面接の目的は、クライアントが自分自身で変化に向けた決断を下せるようになることです。
クライアントは、変化することに対してさまざまな感情や考えを持っています。
これを「アンビバレンス」と呼びます。
アンビバレンスは、変化の障害となる要因です。
動機付け面接では、カウンセラーがクライアントのアンビバレンスを認め、共感的に寄り添いながら、変化に向けた発言や行動を促します。
これにより、クライアントは自分の価値観や目標に沿った変化を選択することができます。
動機付け面接の効果は、多くの研究で実証されており、行動変容の持続性や満足度も高いことが報告されています。

動機付け面接の基本的なステップ

動機付け面接は、以下の4つのステップで進められます。

関係づくり

クライアントと信頼関係を築くために、共感的な姿勢や反射的な応答を用いてコミュニケーションを取ります。

フォーカシング

クライアントが変化したいと思っているテーマや目標を明確にします。
また、クライアントが現在どのような段階にいるかを把握し、適切な介入を行います。

動機づけ

カウンセラーは、クライアントの変化に向けた発言や行動を引き出し、強化します。
これを「チェンジトーク」と呼びます。
チェンジトークは、クライアントの自己決定能力や自己効力感を高める効果があります。

計画づくり

カウンセラーは、クライアントが変化に向けた準備ができているかどうかを確認し、具体的な行動計画を立てるお手伝いをします。

動機付け面接のポイント|OARS

動機付け面接のポイントは、「OARS」と呼ばれる4つの技法です。

O:オープンエンドの質問(Open-ended questions)

クライアントの考えや感情を引き出すために、Yes/Noで答えられない質問をします。

A:肯定(Affirmation)

クライアントの強みや努力を認めて褒めます。

R:反射(Reflection)

クライアントの言葉や態度を要約して返します。これにより、クライアントは自分の考えを整理しやすくなります。

S:要約(Summary)

クライアントの発言の中から、重要なポイントやチェンジトークをまとめて伝えます。これにより、クライアントは変化に向けた動機を強化されます。

動機付け面接の具体的な例

動機付け面接の具体的な例を以下に示します。

カウンセラー:こんにちは。今日はどんなことでお悩みですか?

クライアント:こんにちは。実は、タバコをやめたいんですが、なかなかできません。

カウンセラー:タバコをやめたいと思っているんですね。それはどうしてですか?(オープンエンドの質問)

クライアント:健康のためです。最近、咳がひどくて息切れもします。医者にもタバコをやめるように言われました。

カウンセラー:健康に気をつけているんですね。それは素晴らしいことだと思います。(肯定)

クライアント:でも、タバコがないと落ち着かないんです。ストレスが溜まると吸いたくなります。

カウンセラー:タバコはストレス解消の手段になっているんですね。でも、同時に健康に悪影響を及ぼしていると感じています。(反射)

クライアント:そうなんです。本当はやめたいんですが、辞められる自信がありません。

カウンセラー:やめたいという気持ちはあるけれど、自信がないということですね。では、タバコをやめることにどれくらいの重要性を感じていますか?10点満点で教えてください。(オープンエンドの質問)

クライアント:うーん、8点くらいですかね。

カウンセラー:8点ですか。それは高い数字ですね。では、その8点の理由は何でしょうか?(オープンエンドの質問)

クライアント:やっぱり健康が一番ですよね。タバコをやめれば、咳も治まるし、運動もできるようになると思います。それに、家族にも迷惑をかけたくないです。

カウンセラー:健康や家族のことを大切に思っているんですね。それは素敵な価値観だと思います。(肯定)さて、今お話ししてきたことを要約してみますね。(要約)あなたは、タバコをやめたいと思っていますが、なかなかできません。タバコはストレス解消の手段になっていますが、健康や家族のことを考えると、やめることに高い重要性を感じています。私はあなたの変化に向けた気持ちを尊重しますし、応援しています。どうでしたか?私の要約はあなたのお気持ちに合っていますか?

クライアント:はい、合っています。ありがとうございます。

カウンセラー:では、次に進みましょうか。あなたはタバコをやめることに8点の重要性を感じていますが、自信がないとのことですが、なぜ自信がないのですか?(オープンエンドの質問)

クライアント:以前もタバコをやめようとしましたが、1週間も続かなかったんです。ダメな自分に自信が持てません。

カウンセラー:タバコをやめるのは難しいですよね。でも、あなたは8点の重要性を感じていますし、家族や医師のサポートも得ています。諦めずに頑張ってください。

クライアント:ありがとうございます。頑張ります。

動機付け面接の注意点

動機付け面接は、クライアントの自己決定を尊重することが重要です。
カウンセラーは、クライアントに自分の考えや感情を自由に話してもらうことを目指します。
また、クライアントの変化に向けた発言や行動を引き出し、強化します。
ただし、カウンセラーは、クライアントを無理に変えようとしたり、説得したりしてはいけません。
クライアントが自分の意思で変化を決意したとき、初めて動機付け面接は成功したと言えます。

動機付け面接は、様々な分野で活用されています。
例えば、依存症、摂食障害うつ病、不安症などの精神疾患の治療に用いられています。
また、禁煙、減量、運動習慣の改善など、健康的な生活習慣を身につけるのに役立ちます。
動機付け面接は、多くの人々の人生をより良くする可能性がある有効なツールです。

動機付け面接のまとめ

動機付け面接とは、クライアントの自己決定を促すための面接技法です。
クライアントの考えや感情を引き出し、変化に向けた動機を高めることを目的としています。
いかがでしたでしょうか?
私自身、マネジメントと心理額は深く関係していると思います。
どちらも相手にするのは「人」ですからね。
ぜひ、皆さんも学校や職場で試してみてください。
最後に、動機付け面接の参考になる本をいくつかご紹介します。

動機付け面接のおすすめの参考書

  • 『動機づけ面接法』(ジェームズ・O・プロチャスカ、ジョン・C・ディクラッコ著)
  • 『動機づけ面接の技法』(ジェームズ・O・プロチャスカ、ジョン・C・ディクラッコ著)
  • 『動機づけ面接の理論と技法』(ジェームズ・O・プロチャスカ、ジョン・C・ディクラッコ著)
  • 『動機づけ面接の臨床実践』(ジェームズ・O・プロチャスカ、ジョン・C・ディクラッコ著)

これらの参考書は、動機付け面接の理論と技法について詳しく解説されています。
動機付け面接を学ぶ際には、これらの参考書を参考にするとよいでしょう。